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日本における5Gネットワーク整備の現状について

土曜日, 2月 10th, 2024

“日本国内では2020年3月より5Gネットワークの商用化がスタートしています。政府はデジタル田園都市国家構想など5G基地局整備の高い目標を設定する一方で、税制優遇などの優遇策を打ち出し、スピーディな5Gネットワーク整備を後押ししてきました。では3年半が経過した現在はどのような状況なのでしょうか?ここでは5Gネットワーク整備の現状についてまとめてみましょう。
【政府主導により5G人口カバー率は前倒しで達成】
国が推進するデジタル田園都市国家インフラ整備計画における5Gネットワークの整備計画では、2023年度に5G人口カバー率は全国95%、5G基地局数28万局、2025年度に5G人口カバー率は全国97%、各都道府県90%以上、5G基地局数30万局と計画しています。政府が主導する形で整備がされてきた日本の5Gネットワークですが、総務省が発表した「日本全国の5Gネットワーク環境の整備状況」によると、2022年度末の時点で5G人口カバー率は96.6%に達しているそうです。計画では2023年度に人口カバー率全国95%としていたので、前倒しで達成していることになります。順調に推移していると言えるでしょう。
【通信品質が問題】
現在問題となっているのが、5Gネットワークの通信品質です。5Gは
・最大受信速度が下り:最大20Gbps、上り:最大10Gbps
・低遅延通信
・多数同時接続
を実現する規格となっていて、専用周波数帯としてSub6(3.7/4.5GHz)、ミリ波(28GHz)が携帯会社にそれぞれ割り当てられているのです。
しかし、5G向け専用周波数帯だけでは衛生干渉問題や高い周波数帯によるカバーエリアの狭さ、直進的な電波特性など様々な問題から達成は困難です。
そのため携帯電話会社各社は、既存の4G向け周波数帯を5G向けに転用する「NR化」を積極的に展開することで、間に合わせてきたという実情があります。4G向け周波数を5Gに転用したNRは、5G向けとは異なり帯域幅が狭く、5Gならではのポテンシャルを発揮することはできません。そのため5Gとしての通信品質が保てないのです。
2021年度末時点で88,046の5G基地局がありますが、そのうち5Gが43,749局(49.7%)、NRが44,297局(50.3%)となっています。つまり「なんちゃって5G」の方が割合としては多くなっているのです。
実際2023年6月にイギリスのOpensignal社が実施した調査によると、日本の5Gダウンロードスピードは156Mbpsであるのに対しては、韓国では432Mbps、シンガポールでは376Mbpsとなっています。数値を見れば歴然ですが、圧倒的な劣位にある状況です。5Gだから実現できるモバイルネットワークの通信品質についてもしっかりと今後検証していく必要があるでしょう。”参照